4月から始まった新しい生活で、今までと違うことをたくさん経験していることでしょう。始まる前は、「新しい友達をたくさんつくる」や「部活動を頑張る」など、新しい生活を前向きに捉えていたことでしょう。しかし、いざ始まってみるととにかく忙しいと感じているのではないでしょうか。特に、新高1の皆さんは中学校までと異なる点が多い高校生活に戸惑っているのではないでしょうか。もちろん高校生活は楽しく、さまざまな刺激にあふれていますが、やらなければいけないことが多すぎるのです。
高校生活の多忙さの一番の理由は、授業の変化です。つまり、授業のスピードが速く、内容も難しくなること、そして多くの学校では予習を前提に授業が進むことが多いことにあります。中学生の時は授業中にきちんと聞いておけば、それだけで授業の内容が理解できたという生徒も、高校に入ると、予習にしっかり取り組んで授業に臨み、その日のうちに復習をしないと分からなくなる、ということは珍しくありません。高校の中には「平日の家庭学習時間のめやすは、学年+2(または3)時間」と明言しているところもあります。つまり、1年生であれば3時間または4時間の家庭学習が必要だということですが、高校の学習に慣れていないうちは、授業の予習・復習に取り組むだけで、2~3時間はかかってしまうこともよくあるようです。
授業が終わって、すぐに帰宅すれば予習・復習もそれほど負担にはならないかもしれません。しかし、実際には多くの生徒は部活動に入っています。何らかの部に入ることを求めている学校も多くあります。もちろん、部活動は楽しい時間であり、子供の人間的な成長を促す大切な場です。部活動で頑張った経験は、受験勉強の粘りや集中力に繋がると考える教師も少なくありません。しかし、特に運動部の場合、入部したばかりの1年生の体力では、練習についていくだけでも数か月はかかると言われています。
そんな中で、「勉強は新しい生活に慣れてから、テストの結果を見て頑張ろう」と考えている人が結構な数います。気持ちは分からなくもないですが、一言言わせてもらえれるなら、「その考えは物凄く危険!」ということです。1番の理由は、「様子を見ようと思っている1学期中間考査の順位がほぼ3年間の順位を決定してしまう」からです。中学校では一夜漬けの丸暗記で何とかなっていたものが、高校ではそうはいきません。テストの問題も、知識だけでなく論理的思考が必要なものが増えます。だから、盛り返すのにも相当な時間を必要とします。そういう訳で、1学期中間考査の結果が思わしくないと、「みんなは頭良いんや」「自分は無理そう…」と打ちのめされて這い上がれなくなる生徒が多いのです。
新しい生活に慣れることは大切なことです。ですが、それだけを優先するのは、今後のことを考えるとお勧めしません(受験後だから、ゆっくりしたいという気持ちは理解できますが…)。何より大切なのは、新しい環境に適した「自分の学習習慣」を早急に身に着けることです。それが、学習だけでなく、部活動や趣味などで思いっきり楽しめることに繋がっているのです。(中島)