言語化する力

「どうしてそう考えたの?」と生徒に尋ねると、

「何となく…」と答えるか、黙ったままでいることが多い。

自分の考えを相手に伝えるのが恥ずかしいという気持ちは

分かるが、それだけではないような気がする。

どうも「どう説明したらいいか分からない」、すなわち

「言語化」出来ないらしいのである。

 では、「言語化」とはどんな力なのか。辞書的な意味では、

「直感的なものを説明・伝達可能にする力」であり、簡単に

言うと、「自分の意見を分かりやすく相手に伝える力」のこと

である。「言語化」するためには、まず相手に伝えたい内容を

整理して、内容を取捨選択し、それに最適な語彙を使わなければ

ならない。一連の流れの中で、「言語化」が苦手な人は詰まって

しまう。最近、学校の授業でも「プレゼンテーション」が多用

されるのは、実際に社会に出てからも必要となる「言語化」の

トレーニングの一環でもある。苦手な人ほど、詳細まで全部

伝えようとしたり、専門用語のような難しい言葉を使おうと

したりする傾向が強い。だから、上手く行かなくなる。

 そもそも、「言語化」は自分の考えを相手に伝えるための

手段なのだから、伝わらなければ意味がない。だから、苦手な

人は、まず「一番伝えたいことだけを相手が理解できる言葉

にして話す」ことから始めて欲しい。極端な話、伝える相手が

子供と大人では使う言葉が違うのは分かるはず。内容は欲張らず、

相手に合わせた言葉を選ぶことが最大の秘訣とも言える。

 

 自分の考えを伝えるのは難しいことだが、少しの工夫と練習で

上達するものだと知って欲しい。そもそもが難しいのだから、失敗

するのも不思議ではないので、どんどんチャレンジして「言語化」

する力を磨いて欲しい。(中島)

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